稲生川の多様な働き
  • 農作物・動植物をはぐくむ
    稲生川の水路網や取水施設によって、田んぼや畑に安定的に水が送られることで、安全で新鮮な米や野菜・果物などをつくりだすことができます。また、水路には、ホタルやメダカ、カエルなど無数の水生動物が生息しています。中でも開水路は、「空」「地」「水」の3つの領域が接する空間として豊かな生態系を育みます。
  • 自然を守る・まちを守る
    稲生川などの用水路の流れる先には必ず水田がありますが、稲生川の水は水田でろ過、殺菌され、自然な地下浸透により美しい地下水を養い育てています。水田には大気中の有毒ガスを吸収する働きも認められ、ダムのような貯水機能で洪水を防ぐ役割も果たしています。気候緩和作用もあり、日本の水田全てがなくなると、平均気温が数度あがると言われています。さらに、火災が発生した際には防火用水として、冬季は市民の雪捨て場、融雪施設としてまちを守る機能も持っています。
  • 人の心をいやす
    かつて荒野だった三本木原は稲生川の水により美しい田畑へと生まれ変わり、遠く八甲田を臨んで広々とどこまでも広がる田園風景は、この地域に住む人々の「心の原風景」となっています。これは三本木原のすみずみまで行きわたる稲生川の水路網がもたらしたものといえます。
  • 共同作業が地域をつなぐ
    稲生川の水は上流から下流へ、それぞれの場所で使われながら流れています。上流で川を汚す人がいれば、下流の人は使うことができなくなります。そして、人工河川であるため管理も必要です。川の清掃作業をともに行い、共にその水場に憩うことでコミュニティ意識が形成されています。
  • 時空を超えて人をつなぐ
    人工河川・稲生川は150年流れてきた歴史の中で、いつの時代も守る人がいなければ流れることはできない川です。過去、現在、未来のそれぞれの人が、川を引き、守り、受け継ぐことにより成り立っています。稲生川はその歴史や祭りの継承によって、時空を越え、人と人をつなぎます。
  • 人と自然をつなぐ
    まちなかにおいても、稲生川の周辺では小さな自然が育まれ、そこで人は気軽に自然とふれあうことができます。特に周りに整備された親水公園では、イベントが開催されるなど市民の憩いの場となっています。